「胸郭出口症候群は手術をしないといけないの?」
「手術以外の方法はないの?」
「どの状態になったら手術が必要なの?」
病院で胸郭出口症候群と診断されて、症状の改善のために手術以外の方法で治療をしてもなかなか良くならないので、今後が不安になっていませんか?
今回は胸郭出口症候群の手術方法だけでなく、胸郭出口症候群とは何なのか?胸郭出口症候群の種類と日常生活での予防方法をご紹介していきますね。
胸郭出口症候群とは?
心臓から出ている血管が、胸郭(きょうかく)を出た所で神経とともに圧迫されることを胸郭出口症候群といい、頚肋症候群、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群・過外転症候群の4種類のどれかの状態になっている事を総称します。
鎖骨の上にある、第1肋骨と鎖骨と斜角筋のすき間の部分が胸郭出口になり、その胸郭出口の狭い部分で神経や血管が圧迫されて胸郭出口症候群がおこります。
首・鎖骨・肩の周辺には神経と血管が圧迫されやすいところがあります。よくみられるのは、鎖骨周辺にある腕神経叢などの末しょう神経の束が、血管と同時に圧迫されることです。圧迫されたところは、いつもと同じようなの動作ができなくなり、全身にだるさを感じることがあります。
手の指先に向かう神経や血管が、首や鎖骨周辺で圧迫や引き伸ばされることによって起こる痛みやしびれの事です。
その圧迫や引き伸ばされるポイントは次の4つの場所になるので確認していきましょう。
- 頸肋症候群 「1番上の肋骨の上に本来無いはずの肋骨がある場合」圧迫される
- 斜角筋症候群 「首を支える筋肉」の間で 圧迫される
- 肋鎖症候群 「1番上の肋骨と鎖骨の間」で圧迫される
- 小胸筋症候群 「胸と肩の間の筋肉」を通る時に圧迫される
上記4つの総称として「胸郭出口症候群」と呼ばれています。腕をあげる動きをしたときに、手や腕などがシビれたり、背中の肩甲骨周辺が痛むといった症状が出ます。
主な症状はシビれや痛みなどで、片側だけでなく両側に出るのも特徴になります。
胸郭出口症候群の症状
- 肩の痛みがある
- 電車の吊り革を持っていると腕がシビレる
- 握力が弱く感じ、手指の動きが悪くなった
- 手の指先がシビれ、冷えを感じる
- 腕が重たくてダルい
- 肩コリがずっととれない
このような胸郭出口症候群の症状はありませんか?
胸郭出口症候群に苦しむ方の多くがこのような症状に苦しんでいます。
胸郭出口症候群の種類
胸郭出口症候群は2つに分かれます。
- 神経と血管が圧迫されて起こる圧迫型
- 神経と血管が引っ張られて起こる牽引型
の2つです。
圧迫型の特徴
- 筋トレなどをしている筋肉質の男性にみられる。
- 肩から指先のむくみを感じる。
- 肌の色が青ざめる。
- 圧迫型は症状により手術を行うことがある。
牽引型の特徴
- なで肩で猫背の女性によくみられる。
- 神経が引っ張られることで症状を引き起こす。
- 牽引型の場合、手術は基本的に必要ない。
- 姿勢改善、運動等によって改善されるケースが多い。
頚肋症候群
頚肋症候群は、第7頸椎と呼ばれる骨の奇形を生まれた時から持っている方に起こりやすい症状になります。
頚肋骨とは1番上の肋骨の上に本来無いはずの肋骨があることをいいます。そこで圧迫される頚肋骨が存在することによって、起ってくる症状をひとくくりにしたのを頚肋症候群といいます。
頚肋症候群は極めて稀なケースになりますが、この胸郭出口症候群の中に含まれています。
斜角筋症候群
斜角筋症候群は、前斜角筋・中斜角筋・第一肋骨で構成される三角形の隙間を斜角筋隙と呼びます。
この斜角筋隙で斜角筋が硬くなるや緊張してしまう事神経や血管が圧迫されてしまう状態のことをいいます。
もしも、血管が圧迫されていれば、レントゲン検査で血液造影すると診断されやすくなります。
胸郭出口症候群の症状が急激に現れることはあまりありません。はじめの段階では肩こりを感じるくらいですが、少しずつ指先や手のしびれや冷えといった症状が出てきたりします。
症状がさらに悪くなると、指先や手の感覚が悪くなり、ペットボトルのキャップが回せないというような力が入れにくいことを感じるのも症状の一つです。
お風呂などで身体を温めると楽になる場合があります。
肋鎖症候群
肋鎖症候群とは、鎖骨と第一肋骨との間で、神経や血管が圧迫されているもので、胸郭出口症候群のなかで最も多いとされています。
慢性的な首から腕にかけての疲労などによる血行不良、悪い姿勢などによる骨格のゆがみ、ラグビーなど激しいスポーツなどによって鎖骨や肋骨を骨折した後の変形が肋鎖症候群になりやすくなる原因になってきます。
比較的女性に多いとされていますが、筋肉の過労になります。筋肉の過労は炎症を引き起こしている状態なので、筋肉が硬くなってしまうことから血管を圧迫して血行不良などを引き起こしてしまいます。
この肋鎖症候群は、鎖骨と第一肋骨の狭い隙間を通る血管、神経が何らかの要因で圧迫されて起こる症状です。
原因として考えられる理由は、重い荷物を背負っていること多い、仕事で重いものを担いでいることが多い、鎖骨や第一肋骨の変位・鎖骨や肋骨を骨折した後の、位置異常や変位などになります。
小胸筋症候群・過外転症候群
この小胸筋症候群・過外転症候群は、肩の外転をしたときに圧迫・牽引されて起こる症状です。
肩の外転という動作は、腕を横に伸ばした状態で、そのまま上に持ち上げる動作のことです。この外転という動作の時に、小胸筋という胸の筋肉が神経や血管を圧迫してしまって起こる症状です。
胸郭出口症候群の症状が急激に現れることはあまりありません。はじめの段階では肩こりを感じるくらいですが、少しずつ指先や手のしびれや冷えといった症状が出てきたりします。
症状がさらに悪くなると、指先や手の感覚が悪くなり、ペットボトルのキャップが回せないというような力が入れにくいことを感じるのも症状の一つです。
- 症状が軽いケース
症状が軽いときは、保存療法で経過をみることが多いです。胸郭出口症候群を引き起こしている原因の筋肉のストレッチなどをする事で症状の経過をみていきます。
身体の血流を改善し痛みや炎症をおさえるお薬や神経ブロック注射を行いながら経過をみる事が多いようです。
- 症状が重たいケース
胸郭出口症候群の症状がかなり重たいケースは手術を行う事もあります。
神経や血管を圧迫している筋肉を切開したり、第一肋骨を切除したりする手術などを行っていきます。
胸郭出口症候群の手術
胸郭出口症候群における神経や血管に対しての症状も圧迫も強いときは、手術をすることもあります。
原因となっている肋骨の一部を切除したり、筋肉を切除したりすることで、圧迫していた空間を広げてあげる方法です。胸郭出口症候群が頚肋によって引き起こしている場合には、頚肋を切除することもあります。
胸郭出口症候群の症状がある時に、保存治療と手術治療でどちらにしようかと思っている人は保存治療を行って症状が良くなったのが感じられない場合や日常生活や仕事などで支障をきたす場合に対しては手術治療が行なわれる。
圧迫部の除去を行う手術の方法としては、胸郭出口付近で「神経や血管を障害しているもの」を取り除くということになります。
- 第一肋骨を切り取る
第一肋骨によって神経や血流を障害している場合に行われます。第一肋骨を切り取ってしまう事で神経、血管の障害しているものを取り除く事になります。
- 頚肋骨を切り取る
頚肋骨とは1番上の肋骨の上に本来無いはずの肋骨のことをいいます。
そこで圧迫される頚肋骨が存在することによって、起ってくる症状を取るために頚肋骨を切り取ります。
- 斜角筋を切り離す
斜角筋によって筋肉の隙間が小さくなり神経・血管の圧迫を受けている場合に用いられます。
斜角筋によって引き起こしている症状は斜角筋うを切る事によって、神経、血管の圧迫がなくなるため通りが良くなるというものです。
胸郭出口症候群の手術後
みなさんがよく思っている事が、「手術をすれば治るのか?」ということです。
そして、「手術を以外に治る方法がないのか?」という質問が多いです。
実際に手術をした後は、症状が完全に取れなくても症状自体が軽くなる事は多いです。
しかし、手術を行っても良い事ばかりではないということです。
胸郭出口症候群は日常生活のなかで引き起こされる要因があります。痛みやしびれの軽減は一時的な場合が多く、日常生活での要因が改善されないと再び胸郭出口症候群を引き起こしてしまう事が多くあるようです。
胸郭出口症候群にならないためには?
正しい姿勢を習慣にする
正しい姿勢が習慣になれば、胸郭出口症候群の予防につながってきます。猫背のように悪い姿勢になれば胸郭出口を狭くしてしまいます。胸郭出口を狭くしないためには正しい姿勢が非常に重要になります。
携帯の画面や本を読むといった姿勢だと、スマートフォンを見る時に画面をじっと見るため、顔が前に倒れている状態になり、その姿勢が猫背の姿勢をつくりあげています。
体を温める
胸郭出口症候群の多くの人は、血行不良等が起こり症状が引き起こされるので、入浴が重要です。お風呂に浸かることで血液の流れが良くなり、免疫機能を高めます。39°の湯で10分の入浴がおすすめです。
入浴時は汗をかくのでお風呂に入る前後でコップ一杯の水を飲むようにしましょう。
十分な睡眠をとる
筋肉や神経の回復には睡眠が1番効果的といわれています。
普段の寝ている姿勢も仰向けで寝た方が体の負担が少なくなります。横向きで寝てしまうと、下になっている肩が内巻になり筋肉に負担がかかってしまうので注意しましょう。
荷物を持つとき
荷物を持つ時、同じ肩ばかりに荷物をかけていませんか?
普段から同じ肩に荷物をかけていると、同じ肩ばかりにかけてしまう人がおおいです。
しかし、いつも同じ側に荷物をかけ続けていると負担が同じ肩だけにかかるため、疲労が蓄積していき胸郭出口症候群になりやすくなります。
交互の肩にかけるように心がけていきましょう。
軽度な運動とストレッチ
軽度な運動とストレッチは筋肉をやわらかくする効果があります。運動とストレッチを行うにあたっての注意点
では体が冷えた状態ではしないようにしましょう。しっかりと体が温まった状態ではじめてください。
体が冷えた状態では筋肉が硬く、動き自体も悪いのでケガに繋がります。また、無理に筋肉をのばそうとすると体を痛めることがあります。1つの動作は30秒程度を続けて行っていきましょう。
そのときに、呼吸は止めず、自然な呼吸をして心がけましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
胸郭出口症候群は症状によって手術療法をするのか保存療法を行うのかに分かれてきます。日頃の生活の支障レベルを判断できるのはあなた自身になります。
胸郭出口症候群の予防方法もいくつかお伝えしましたが全てするのはいきなりだとしんどいと思うのであなたのペースで少しずつチャレンジしてみてくださいね。
症状が軽い方、重たい方で手術をしたくないと思っておられる方はいつでもご相談下さいね。
あなたのお役に立てると思います。
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