人工授精ってどんなことをするの?

「人工授精ってどんな方法なの?」

「どれくらいの費用がかかるのか?」

あなたはこのように思われることはありませんか?

今回は人工授精の方法と費用について説明していきます。

不妊症とは

避妊をせず、夫婦の性生活を送っていれば、結婚して半年で7割1年で9割2年で10割が妊娠するといわれています

一般的には、避妊をしていないのにも関わらず、1年以上たっても子供ができない場合を「不妊症といいます。

不妊症は病気のイメージを持っている方もいますが、不妊症は病気ではありません。

不妊症といっても、原因はさまざまです。
不妊症の原因は女性側、男性側の片方、あるいはその両方の原因に分けられます。

女性、男性それぞれで認められる不妊の原因をご紹介します。

女性側の原因

  • 排卵障害

排卵障害とは自力で排卵が起こらないことです。

排卵がなければ卵子が育たないので、妊娠になることはありません

  • 卵管の障害
卵巣と子宮をつなぐパイプの役割をしている卵管は細いので詰まったり、くっついたり、狭くなって精子や卵子、受精卵などが通れなくなると、卵子と精子が出会えなくなることや、受精卵が動きづらくなったりすることで、不妊の原因になってきます。
  • 子宮着床障害
子宮に子宮筋腫や子宮線筋症、子宮内膜ポリープなどによる異常があると、着床に適した状態になっていないので、受精卵が子宮内膜に着床できないため、不妊の原因となります。
  • 子宮頸管障害

子宮頸管は子宮の出口になり、子宮と膣をつないでいるパイプのような部分です。

子宮頸部からは精子の動きを助けるための頸管粘液が分泌されます。この粘液が悪い状態だと、精子が卵子のところまで到達できなくなると不妊の原因となります。

  • 免疫障害

免疫異常によって抗精子抗体という抗体が、精子を攻撃してしまうことで不妊の原因になります。

  • 原因不明不妊

原因不明不妊は不妊期間が1年以上で、明らかな不妊原因を見出せない場合をいいます。

原因不明不妊は約10%と言われています。

男性側の原因

男性不妊の原因の約90%が造精機能障害といわれていて、男性不妊のほとんどの原因はこれになります
造精機能障害とは、精子をつくり出す機能自体に問題があり、精子をうまくつくれていません。それによって、精巣や内分泌系(ホルモン分泌等)の異常が障害をひき起こしてきます。
 これらの原因を紹介していきます。
  • 無精子症

造無精子症は精機能障害の中でも重い症状です。

その症状は精液中に精子がない状態をいいます。

  • 乏精子症

精液の中に精子はいるけれど、精子の数が少ないという症状です。

精液検査で、精子の数が1ml中1500万を下回ると乏精子症といいます。自然妊娠するには1ml中4000万以上が望ましいとされています。

  • 精子無力症

精子の数は正常にあるけれど、精子が活発に運動していない状態です。

精液検査で前進する精子が50%未満、または、高速で前進する精子が20%未満であると精子無力症と診断されます。

  • 精索静脈瘤

精巣(睾丸)に血液が逆流し、精巣からの静脈の血液が滞り、精巣の静脈血管に瘤(こぶ)のようにふくらむものです。

  • 勃起障害ED

セックスのとき十分に勃起が起こらない、または勃起しても一定時間続かないことをいいます。

人工授精の方法と費用について

不妊症の治療法

不妊症の代表的な治療法です。

  • タイミング法
  • 人工授精
  • 体外受精
  • 顕微授精

などがあります。

この中で今回は人工授精について詳しく説明していきます。

人工授精

精液の中から活発に運動している精子を、排卵のタイミングをみて男性の精液を女性の子宮内に注入する方法を人工授精といいます。

人工授精は、タイミング法の次の段階で行われる不妊治療の方法です。

人工授精は、精子が子宮に入ることを手助けするというものになるので、男性側に特に原因がなく、精子自体に問題がない場合には、人工授精の意味がありません。

人工授精は、次のような方が対象となります。

  • 精子に不妊の原因があるケース
  • 性生活を排卵日に行ってもなかなか妊娠しないケース

人工授精の流れ

1.人工授精の日程を決める

排卵時期をみつけるために、超音波検査を使って調べます。血液検査ではエストロゲンという妊娠に関係するホルモンの量を測定し、排卵日を予測します。

排卵日が特定できたら、人工授精日を決定します。人工授精は排卵から24時間以内に行うのが理想だと言われています。

2.精液採取

精液採取の際には、指定された容器に入れて病院に精液を提出します。病院には「採精室」という個室があるので、その部屋で精液を採取します。

3.注入

子宮内に管を入れるか、プラスチックの注射器から、洗浄・濃縮した精液を注入します。痛みはほぼありません。その後少し安静にしてから終了です。

4.排卵確認

人工授精の2~3日後に、排卵が起きたか確認をします。

基礎体温の計測は自分でも確認ができます。排卵が起きると、ホルモンの影響で基礎体温は排卵前に比較して高くなります。

血液検査では、プロゲステロンというホルモンの分泌量が増えるので血液検査で確認します。また超音波検査でも確認できます。

プロゲステロンとは、子宮内の状態を整えて着床しやすい環境を作り、妊娠を維持しやすく働いてくれます。

5.妊娠確定

血液検査や妊娠検査薬などで妊娠の判定ができます。人工授精から3週間以上基礎体温が高い時期が続くと、妊娠している可能性が高くなります。

費用

人工授精の費用は保険適用外となるため、全額自己負担となります。

病院や施設によって金額が異なることがあり、検査内容や薬の種類によって費用は変わるため、事前に費用を確認しておくようにしましょう。

だいたい1回あたり1万円~3万円程度になります。この費用とは別に、検査費用や排卵誘発剤などの費用が追加されます。

数十万円ほどかかる高度生殖医療と比べても、不妊治療の中では、お手軽な金額になります。
よく体外受精と混同されることがありますが、体外受精とは全く違う方法になります。

体外受精より妊娠する確率は下がりますが、からだへの負担や経済的負担を考えると人工授精の方が負担は少ないため回数を重ねることができるのがメリットになります。

まとめ

今回は人工授精についてお話をしました。人工授精について少しでもイメージしていただけたら幸いです。自然妊娠に近い状態なので、人工授精に対する考え方が変わった人もいるのではないでしょうか。

もし、あなたが子供ができなくて迷っているのであれば、病院を受診してみてくださいね。

\この記事は私が書きました/

非公開: 上嶋 健五(うえじま けんご)

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